完全密室殺人事件?!

創作劇場〜1〜(4/4)「最終話」

【今回のコラムはフィクションです】

第1弾は毎週木曜or金曜(m(_ _)m一日遅れました)にUPされます−全四章−(予定)

前回(第三章)分はこちら http://d.hatena.ne.jp/tsurinews/20040826


−4−

「何故、引力発生装置が故障したの?」同居人は一人呟いた。

ご存知通り、全ての物質には相互に引き合う力が働いている。それが万有引力である。「木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を発見した」のはニュートンであるが、地球と月にも万有引力は働いている、地球に月が落ちてこないのは、地球の周りを回っている月の遠心力のおかげである。彼の手はその引力を自由に制御し物を掴まずに持ち上げたり(掴まないので持つという表現は正しくないが)運んだりできるのである。

彼の手は球形である、引力発生装置を制御し球形のあらゆる個所に自分の目的とする道具を自由にくっ付けて取り出したり持ち運んだり、自分の意志で自由にできるのである。一度に沢山のものに触れても、自分が持ちたいものはこれと考えれば、球形の手にはそれ以外のものがくっ付かずに必要なものだけがくっ付くのである。

しかしその日はその制御ができず、N君の宿題の手助けのために、ある「軽くて柔らかい道具」を取り出そうとしたのに一緒に「他の道具」がくっ付いてきてしまった「その道具」は重くて大きい。いつもはそれを取り出そうと意識しているので、周りに注意して取り出すのであるが今回は勝手にくっ付いてきた。勢いまかせて取り出したので「重くて大きな道具」がN君を目掛け円を描くように落下し、N君の頭を強打した。

一瞬の出来事だった。一見「重くて大きな道具」の表面は木製のようだが、実は特殊金属でできており、その道具の機能を働かせるための制御装置が外枠部分に内蔵されていた。その機能とは時空間を歪ませて、遠く離れた地点とその道具を設置した地点間とを連続した空間とするものであり、そのため強力な電磁場を生成する必要があった。その道具の重量は100kg以上あった。

その「重くて大きな道具」で頭を強打した、N君は頭蓋骨陥没、頚髄損傷で、ほぼ即死の状態であった。こうなるとこの同居人はパニック状態に陥る、自分自身で制御ができなくなるのである。まず、死因の「頭蓋骨陥没、頚髄損傷」を隠すため、ナイフでN君の胸、腹を切った(しかしさすがにあまり深く切ることはできなかったようである)。次に遺体を移動させ、扉を釘と接着剤で固定した。何故固定したのか?多分この答えは同居人本人も持ち合わせていないだろう。答えたとしても「パニック状態で何をしたのかも覚えていない」ぐらいの返答だろう。その後、外に出るための窓をも接着剤と釘で固定した。もっとも窓の釘を打ち付けている途中で母親のN君を呼ぶ声が聞こえたので途中やりで机の引出しを開け「タイムマシン」で別の時代に移動した。

数ヶ月間、同居人は色々な時代を彷徨い、やっと気分を落ち着けることができた。そして、自分の時代に戻り(この場合戻るのではなく実際には未来に行くという表現が正しい)手の制御装置を修理した後、事件直後の現場に行き、「透明マント」と「スモールライト」を使って、遺体を運び出したというわけである。

その後も彼の苦悩は続く、読者の中にはもう少し事件(事故)の起きる直前までタイムマシンで戻って引力発生装置の制御機能の直った手で「軽くて柔らかい道具」をN君に渡せば何も起こらずに済むのにとお思いの賢者もいらっしゃると想像する。確かにその通りである、しかしその行為は「時間のパラドックス」を引き起こすため、タイムトラベラーにとって絶対やってはいけない行為なのである。

最後に「軽くて柔らかい道具」を【翻訳こんにゃく】と言い「重くて大きな道具」が【どこでもドア】、被害者N君の名が【のび太】であることをお伝えしてこのお話を終わることとする。



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