完全密室殺人事件?!

創作劇場〜1〜(2/4)

【今回のコラムはフィクションです】
第1弾は毎週木曜or金曜にUPされます−全四章−(予定)

前回(第一章)分はこちら http://d.hatena.ne.jp/tsurinews/20040812

−2−

警察が来たのは、父親の110番から15分ほどしてからだった。

N家の門扉に黄色いテープ状のロープが張られ、警官や刑事それに鑑識と思われる、ジャンパー姿の人が大勢やって来た。

一通りの確認が行なわれて、N君の両親は死体の確認を行なった。間違いなくN君であった。母親は泣き崩れその横から父親が肩を抱くように支えていた。

「どうしてこんな事に・・・」父親は呟いた。

2人の刑事が現場検証のため、両親を一階の部屋で休ませ、引き続き調査に戻ったとき次の事件は起きた。それはほんの一瞬の出来事であった。刑事2名は両親と一緒に一階に下りたので現場を離れた。あと2名の鑑識は1名が窓ガラス指紋採取、もう1名は机の指紋を採取していた。

警官が2名居たが両名とも部屋への部外者の出入りをチェックする目的で配置されていたので部屋の出入り口前に部屋とは反対方向に向かって立っていた、あと2名警官が居たが彼らは玄関で部外者の出入りをチェックしていた。

遺体が現場から消えたのである、司法解剖のため遺体は警察病院に運ぶことになっており、青いシートが被せられていた。勿論シートをめくった後はあったが誰もこの部屋には出入りしていないし、窓ガラスも事件の時のまま、カギの掛かった状態でしっかり締まっていた。

ここで事件現場のN家の見取り図を紹介しておこう、N家は昭和40年代に建てられた木造モルタル作りの二階建て家屋である。家の周りはブロック塀で囲まれ、門扉は鉄製だが、カギはなく内側にカンヌキ状に鉄棒を差し込んで留めるだけのものである。要するに塀の隙間から手を通せば外側からでも簡単に外すことができる。

東に面した玄関は格子戸風のガラスの2枚組引き戸で、N君の部屋の窓と同じようにネジ状のカギを何度も押しながら捻り込むものある、ただし玄関は外からカギを差込み押し込みながら捻り込むことで外からも施錠できる構造である。玄関を入ると2畳ぐらいの土間があり左側に作り付けの下駄箱、その上にはキジの剥製が置いてあった。

玄関を上がると左側に2階へ上がる階段があり、玄関から真直ぐ進むと右側(方角は北になる)には台所兼食堂がありその奥に洗面所と浴室がある。この部屋も全て引き戸であり洗面所以外に施錠設備は無い。

廊下を面して反対側、つまり玄関から入ると左手に和室が二部屋並んでいた。廊下に面する側も二つの部屋を仕切るものも全て襖であった。当然施錠は出来ない。和室二部屋の南側は障子の引き戸になっておりその外側に小さな縁側がありその外にガラス戸がある。このガラス戸は改築しサッシのガラス戸になっていた。ガラス戸は床から天井までありガラスは上下2枚に別れ下の部分はすりガラスになっていた。

2階の見取り図は次のようである。玄関から上る階段は数段ですぐに右に折れ一階の廊下と同じ方向に上る形になる。2階まで上りきったすぐ左側にN君の部屋はある、出入り口は合板で作られた引き戸である。2階にはあと一部屋、廊下の突き当たりにあるが、最近は納戸として使用していた。出入り口はN君の部屋と同じ引き戸であった。

・・・・来週につづく。 http://d.hatena.ne.jp/tsurinews/20040826