携帯電話とテレビの・・・
3ヶ月ぐらい前まで北回帰線上にいた太陽が今は赤道上にその居場所を移し、幾分か初秋の涼しさを感じる夕暮れ時の公園でヨレヨレの背広に黒いビジネスバッグを下げた男がふらふらと歩いていた。
彼は最初公園の南端にあるベンチを目指して歩いていたが、途中で西端にあるベンチを見つけると、公園の真ん中辺りで軌道修正し『クロソイド曲線』を描きながら、それに向かった、丁度そのベンチは少し傾きかけた太陽の方向に大きな木がありその陰の中にあった。「ふ〜ぅ」彼は大きく溜息を付きベンチに腰を下ろした。
公園の手前で買った缶コーヒーのプルタブを持ち上げフタ開けた。丁度フタの部分が缶の中に落ち込み中の液体を飲む事が出来る構造だが、さっきまでフタになっていた部分がコーヒーの液体の中に入るわけである「あまり衛生的ではないな。」ふとそんな事を考えながら、一口飲んだ。
「今日も新しい注文は取れず終いか」彼は独言ちた。「一応会社には連絡しなきゃな」彼はカバンを膝の上に置き、中の携帯電話を取り出した。会社に電話をするため登録電話帳から選択しようとしたとき、彼はそれに気付き愕然とした。
で「これは『テレビのリモコン』じゃんか」と独り突っ込みをした。
こんなコントをケータイ電話をビジネスマンが多く持つようになった頃見たような気がするが、今ではこんな失敗するかよ〜と思うぐらい、ケータイ電話は小さくなり、しかも折りたたみ式が支流である。
逆に「テレビのリモコン」は多機能になり、テンキーばかりでなくビデオの操作ボタンがついてたり(勿論テレビはテレビ単機能なのだが)で以前と比べると相当大きくなってしまった。
ですね。